相続登記の期限について
相続により不動産を取得した場合、被相続人からご自身へ名義変更(相続登記)する手続きを行う必要があります。
2022年の段階ではいつまでに完了させなければならないという期限は定められていませんが、超高齢化社会といわれる昨今、管理がまったく行き届いていない空き家の増加が問題となっています。
相続登記の放置は現在の所有者が誰であるかわからない事態を招き、その結果、必要な災害対策工事や公共用地の買収が難航するなどの弊害が生じていることも事実です。
このように行政側としても頭の痛い問題でしたが、相続登記を義務化する法案が2021年4月に可決されました。
相続登記が義務化されることでどのような変更点があるのでしょうか。法改正のポイントについてご説明いたします。
2024年より相続登記の義務化が施行
2021年4月の可決にともない、「民法等の一部を改正する法律」ならびに「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が2024年から施行されることが決定しています。
これにより従来であれば個々の判断で行っていた相続登記が義務となり、定められた登記期限までに行わなければならなくなりました。
義務化における相続登記申請の期限
- 相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内
- 正当な理由もなしに申請を怠った場合は10万円以下の過料が科される
このように、相続登記に関する期限が定められましたが、期限内に行うには遺産分割を完了している必要があります。遺産分割が完了していないすべての不動産相続に過料を科すことになると別の問題が起こる可能性があるため、「相続人申告登記」という新たな対応策が設けられました。
相続人申告登記とは相続人自身が法務局に対して相続の発生を申請することで、相続登記の義務を履行したとみなしてもらう制度です。この制度を利用しておけば遺産分割が完了していなくても過料の対象とはなりません。
しかしながら遺産分割を完了してから3年以内に通常の相続登記をする必要があるため、忘れずに行うよう注意しましょう。
義務化に関係なく相続登記はすべきもの
2024年より施行される相続登記の義務化は、施行前に相続で取得した不動産にも適用されます。相続登記をしていない不動産を所有している場合には面倒に思うかもしれませんが、相続登記の放置は相続人の範囲を広げ、遺産分割を複雑化させることにつながります。
また、売却するタイミングが訪れても即座に手続きを進めることができないなど、デメリットのほうが多いといえるでしょう。
今回の法改正では相続登記のみならず、登記名義人の住所を変更した場合の不動産登記の義務化も決定しています。不動産の名義変更をそのままにしていることで不利益を被ることがないよう、義務化が施行される前に登記のプロである司法書士に相談し、済ませてしまうことをおすすめいたします。