危急時遺言と作成方法
一般的に知られている遺言書といえば「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」といった普通方式ですが、ほかにも「危急時遺言」という特別方式の遺言書があります。
危急時遺言は認められるケースが限られているため、どのような遺言方法であるか、知らない方も多いのではないでしょうか。
ここでは2種類ある危急時遺言のなかから、利用する可能性がないとはいいきれない「一般危急時遺言」に絞ってご説明いたします。
死亡の危急が迫った時に行う「一般危急時遺言」
一般危急時遺言とは、病気やケガ等により死亡の危急(臨終の時)が迫っている方が、ご自分で署名・押印できない状態にある場合に認められる遺言方法です。
作成には証人3名以上が立ち会い、遺言者が口述した内容を証人1名が自筆もしくはパソコンで書面化します。遺言者が話せない場合には手話や通訳による申述も可能ですが、録音・録画したものは無効となるため注意が必要です。
証人1名が書面化した遺言内容を遺言者と他の証人で確認し、相違がなければ署名・押印をします(証人のみ)。書面化した遺言内容に法的な効力を持たせるには、証人もしくは利害関係者が遺言の日から20日以内に家庭裁判所へ請求し、確認を得る必要があります。
家庭裁判所へ提出する書類
- 書面化した遺言内容の写し
- 病院の診断書(遺言者)
- 遺言者および証人3名の戸籍謄本
なお、遺言者が死亡の危急を脱し、普通方式で遺言ができる状態になってから6か月生存していた場合、一般危急時遺言における遺言内容は無効となります。
生死の境をさまよったことで遺言書の重要性に気付いた方は、普通方式の遺言書を忘れずに作成するよう心がけましょう。