期限のある手続きとは
相続が発生すると多岐にわたる手続きを行うことになりますが、なかには期限の定めがあるものも存在します。そのひとつである相続税の申告・納税については、定められた期限に遅れると大幅に納税額を軽減できる控除や特例が適用できなくなってしまいます。
それだけでも痛手となりますが、さらにペナルティとして本税とは別の税金が課される可能性があります。そうした事態に陥らないためにも、相続の発生とともに各種手続きを計画的に進めて行くことが重要です。
ここでは数ある相続手続きのなかから期限のあるものに絞ってご説明いたします。
期限のある手続き1「死亡届」
ご親族のどなたかが亡くなった際に提出することになる死亡届ですが、【亡くなったことを知った日から7日以内】という期限が定められています。
死亡届は以下のいずれかに該当する自治体に対し、診断書もしくは検案書を添付して提出します。
- 被相続人の死亡地または本籍地
- 届出人の所在地
期限までに提出できなかった場合は、過料として5万円が科されることになります。
期限のある手続き2「相続放棄・限定承認の申述」
被相続人が多額の借金などを抱えていた場合、相続放棄や限定承認を検討することもあるかと思います。その場合は【被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内】に、その旨の申述を家庭裁判所で行わなければなりません。
申述はどの家庭裁判所でも良いというわけではなく、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
期限までに申述しなかった場合は「単純承認」したものとみなされ、被相続人のプラス・マイナス財産ともにすべて相続することになります。
期限のある手続き3「準確定申告」
被相続人が亡くなったその年(1月1日から亡くなった日まで)に一定の所得があった場合に必要となる「準確定申告」は、【亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内】が期限です。
この期限までに相続人が代わりに行うことになりますが、間に合わなかった場合にはペナルティとして延滞税や加算税等が課されます。
期限のある手続き4「相続税の申告」
財産調査を行った結果、相続税の課税対象であることが判明した場合、【被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内】に申告・納税を行う必要があります。
期限までに申告・納税できなかった場合は別途税金が課されるだけでなく、配偶者控除や小規模宅地等の特例なども適用することはできません。
上記をみてもわかるように、期限のある相続手続きはその間に完了させないといずれも不利益を被ることになります。現在相続手続きを進めている方でこれらの期限に間に合いそうにない場合は早急に、相続の専門家へ相談されることをおすすめいたします。