一世代前の登記がされていない
相続で取得した父の自宅の名義が祖父のままだったなど、登記簿を確認したことで一世代前の登記がされていないと発覚するケースも少なからずあるのが現状です。
相続登記を何世代にもわたり放置していると相続人の範囲が広がり、複雑化したことでいつまでたっても遺産分割がまとまらない恐れがあります。
また、2022年時点では個人の判断に任されている相続登記も、2024年には義務化されることが決定しています。義務化が施行されると期限までに相続登記を行わなければならず、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料が科されるとのことです。
この義務化は過去に相続で取得した不動産も対象となるため、一世代前の登記がされていないと発覚した際は速やかに手続きをすることをおすすめいたします。
なお、一世代前の登記がされていない場合、その際の遺産分割協議が完了しているかどうかがポイントになります。
一世代前の登記がされていない場合の対応
例 相続財産:土地(4,500万円)
被相続人:父B
相続人:母、長女、次女
登記簿上の名義:祖父A
※祖父が亡くなる3年前に祖母は逝去。父Bには妹C(存命)がいる。
祖父Aの相続において遺産分割協議が完了している
祖父Aの相続が発生した際に相続人となる父Bと妹Cによる遺産分割協議が完了していた場合、問題なく登記手続きを進めることが可能です。
祖父Aの相続で作成された遺産分割協議書に父Bが土地を相続する旨が記載されていれば、次に取得する方を母、長女、次女の協議により決定することができます。
祖父Aの相続において遺産分割協議が完了していない
父Bが亡くなるまでに祖父Aの相続における遺産分割協議が完了していなかった場合は、祖父Aの相続人である妹Cと父Bの相続人である母、長女、次女の4人で遺産分割協議を行います。
このように遺産分割協議を行う前に相続人のひとりが亡くなり、次の相続が開始されることを「数次相続」といいます。
一次相続が単独相続だった場合は登記の省略が可能
相続登記は原則として順番通りに行わなければなりませんが、一次相続が単独相続だった場合にはその分の登記を省略することが認められています。
こうした登記は「中間省略登記」と呼ばれ、相続放棄や遺産分割を行ったことで単独相続になった場合も適用可能です。
中間省略登記は登記を一度で済ませられるだけでなく、登録免許税の負担を軽減できるというメリットがあります。
名義が一世代前のままだと戸籍の収集は困難に
中間省略登記によって一次相続の登記を省略できたとしても、一次、二次相続で必要となる戸籍一式を収集し、提出しなければなりません。
先述した通り、一世代前の登記がされていないと相続人の範囲は通常よりも広く、戸籍を収集する時間と手間は相当なものになると予想されます。また昔の戸籍は現在の仕様とは異なり、古いものになるとインクがかすれている場合があるなど、読み解くだけでも一苦労だといわれています。
相続により取得した不動産の名義が一世代前のままで、ご自身で登記をするのは困難だと思われる際は、松本相続遺言相談プラザの司法書士までぜひお気軽にご相談ください。
お客様のご事情やご状況をお伺いしたうえで、最善となる策をご提案させていただきます。