生前対策-死後事務委任契約-
亡くなった後に生じる葬儀・供養の手配や住居の明け渡し、各種費用の支払いなどといった事務手続きは、通常ですと亡くなった方のご家族やご親族が行います。
しかしながら超高齢化社会に突入した現代の日本において、最期の時をおひとりで迎える単身世帯は増加傾向にあります。
ゆえに、そのような事務手続きを頼める人物がいないことに不安を覚えている方も少なくないのが現状だといえるでしょう。
また、ご家族やご親族が身近にいたとしても頼ることができない事情等を抱えている方も多く、こうした方々が生前対策として講じておくべきだといえるのが「死後事務委任契約」です。
死後事務委任契約とはその言葉通り、亡くなった後に生じる各種事務手続きを第三者に代行してもらうために結ぶ契約です。
ご自身の判断能力がしっかりある状態でないと契約を結ぶことはできないため、お元気なうちに契約に向けて動き出すことを心がけましょう。
死後事務委任契約にて代行してもらえること
- 葬儀や供養の手配および執行
- 介護施設や病院への支払い
- 住居の明け渡しや遺品整理
- ライフライン(電気、ガス、水道等)の支払いおよび解約手続き
- 各種行政手続き(年金受給停止や医療費の返還請求等) 等
死後事務委任契約の内容はご自分の状況等に合わせて自由に決定できるため、上記以外のことも第三者に代行してもらうことが可能です。どのようなことをお願いすれば良いか迷われる際は、生前対策に精通した専門家に一度、相談してみると良いでしょう。
なお、死後事務委任契約は既述の通り、亡くなった後に生じる事務手続きを代行してもらうための契約であり、生前の事務手続きについては代行することができません。
ご逝去されるまでに身体が不自由になったり、認知症を発症したりする可能性は決してゼロとはいえないため、生前の財産管理については「任意後見契約」をおすすめいたします。
任意後見契約も死後事務委任契約と同様、判断能力がしっかりある状態でないと契約できませんが、自らの意思で選任した後見人に希望する財産管理をお願いすることが可能です。
この契約は生前のみ効力を有するため、死後事務委任契約とあわせて契約しておくことで安心した老後につながるといえるでしょう。