相続税が払えない場合-物納と延納-
相続税は現金で一度に納めることが原則ですが、納税額によっては難しい場合もあるかと思います。だからといって納税しなければ別途ペナルティを課されることになりますし、相続税申告が必要な方にしてみれば頭の痛い問題だといえるでしょう。
そのような場合に検討してみるべきなのが、相続税を「延納」および「物納」する方法です。相続税申告において10万円以上の納税額があれば認められる可能性があるため、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署で申立てを行ってみると良いでしょう。
相続税を延納する場合
相続税を年賦払いによって納める制度のことを延納といい、延納が認められると税額に対する利子税(利息)が発生します。
相続税の延納を認めてもらうには、「現金で一度に納められない理由があること」「担保として延納税額相当の財産を提供すること」などの要件を満たす必要があります。
なお、担保の提供が必要なのは、延納税額が100万円以上かつ延納期間が3年以上の場合に限ります。
不動産を延納できる期間(最高)
- 相続財産における不動産等の割合が50%未満:5年
- 相続財産における不動産等の割合が50%~75%未満:15年
- 相続財産における不動産等の割合が75%以上:20年
動産を延納できる期間(最高)
- 相続財産における不動産等の割合が50%未満:5年
- 相続財産における不動産等の割合が50%~75%未満:10年
- 相続財産における不動産等の割合が75%以上:10年
延納を希望する場合は必要書類と延納額相当の担保を用意し、相続税申告の期限までに申立てを行います。
相続税を物納する場合
延納でも相続税を現金で納められない理由がある場合に申請できるのが物納であり、その部分の納税額に相続財産そのものを充てる特別な制度です。現金で納められない理由については要件をもとに判断されるため、場合によっては認められない可能性もあります。
物納できる相続財産の順位
【第1順位】不動産、船舶、国債・地方債証券、上場株式等
【第2順位】短期社債等を除く非上場株式等
【第3順位】動産(不動産を除く全財産)
いずれの相続財産も国内にあることが物納できる条件となります。
なお、物納が認められたとしても申告時の財産が適当でなかったり、現金で納められると判断されたりすると、税務署から物納財産の変更や申請の却下を求める通知が届く場合があるため、注意が必要です。